5月に記事を書けなかった理由
5月はあまり記事を書けませんでした。理由はいくつかありますが、いちばん大きかったのは、普通に体調を崩していたことです。少し前に熱中症のような状態になり、しばらく何をするにも鈍くなっていました。体調が悪いと、書く以前に、考える速度が落ちます。
その間も開発環境をまったく触っていなかったわけではなく、最近はGoogleのAntigravity IDEを試していました。数日だけの利用ですが、VS Code、Kiro、Gemini CLI、Codex、Claude Codeを行き来している身としては、いくつか見えてくるものがあります。
Antigravity IDEとは
IDEは Integrated Development Environment の略で、日本語では統合開発環境と呼ばれます。コードを書くエディタ、ターミナル、デバッガ、拡張機能、プロジェクト管理などをひとつにまとめた開発用アプリケーションです。VS Codeも広い意味ではIDE的に使われています。
Antigravity IDEは、Googleが提供するAIエージェント前提の開発環境です。単にエディタの横にチャット欄があるというより、エージェントに作業を任せ、ファイル編集やコマンド実行を含めて進めることを意識した作りになっています。AntigravityにはIDEだけでなくCLIもあり、公式ドキュメントではAntigravity CLIの使い方も案内されています。
名前だけ見ると少し大げさですが、触ってみると「Geminiを中心に置いたAI開発環境」と捉えるのがいちばん近い印象です。
VS CodeとKiroはどうしたのか
VS Codeを嫌いになったわけではありません。ただ、筆者はGitHub Copilotをあまり使っていません。VS Codeは素のエディタとしては今でも扱いやすいのですが、AIエージェントに作業を任せる場所として見ると、最近は少し距離ができています。
Kiroもまだ好きです。正直に言うと、Kiroは色が好きです。それだけと言えばそれだけですが、毎日見る道具の色や雰囲気は意外と重要です。Kiroのspec駆動的な流れも面白いのですが、普段の細かい作業では、Antigravityのほうへ手が伸びる日が増えました。
Antigravityに乗り換えた、というより、今は「Geminiを使うならAntigravity IDEでよいのでは」という気分になっています。
実際の使い勝手
使っていてまず気になるのは利用制限です。公式のプラン説明では、Google AI ProやUltraの利用者向けに、一定のクォータが5時間ごとに更新されることが示されています。ただし、無料ユーザーや時期によって扱いが変わることもあり、実際の上限はかなり動的に見えます。ここは「5時間ごとに必ず自由に使い続けられる」と理解しないほうが安全です。筆者の使い方では常に上限へぶつかるほどではありませんが、長い作業をまとめて投げる場合は気にしておくべき点です。
一方で、数日使った体感としては、コンテキストを長く保持してくれる印象があります。ただし、ここは少し注意が必要です。以前のGemini CLIの文脈では、Gemini 2.5 Proの100万トークンのコンテキストウィンドウが目立っていました。しかし、現在のAntigravity IDEはGemini 3.5 Flashを前面に出しています。Google Antigravityの公式ブログでも、Gemini 3.5 FlashはAntigravityにおけるデフォルトのGemini Flashモデルとして説明されています。
そのため、Antigravity IDEの体感をそのまま「Gemini 2.5 Proの100万トークンだから」と説明するのは雑です。実際には、Antigravity側で選ばれているモデル、プラン、クォータ、タスクの種類によって見え方が変わるはずです。少なくとも通常利用では、Gemini 3.5 Flashを前提に考えたほうが自然です。
手元のモデル選択欄では、Gemini 3.5 FlashのLow / Medium / High、Gemini 3.1 ProのLow / High、Claude Sonnet 4.6、Claude Opus 4.6、GPT-OSS 120Bが並んでいました。デフォルトはGemini 3.5 Flash(Medium)です。少なくとも通常利用の入口では、Pro系の巨大文脈モデルというより、Flash系を速度と消費量のバランスで使わせる設計に見えます。

それでも、長めの作業を投げたときに、会話の前半を忘れにくいように感じる場面はありました。これはCodexやClaude Codeとの優劣というより、作業の種類によって向き不向きが違う、という話です。
個人利用のGemini CLIは移行期に入っている
以前はGemini CLIも試していました。ターミナルから直接Geminiに触れるのは軽く、公式ページでもファイル操作、シェルコマンド、Web取得、MCP対応などが紹介されています。
ただし、これは単に筆者の利用頻度が落ちたという話だけではありません。Google Developers Blogでは、2026年5月19日にGemini CLIからAntigravity CLIへ移行する方針が発表されています。個人向けのGoogle AI Pro / Ultra、無料利用、Gemini Code Assist for individualsでは、2026年6月18日にGemini CLIとGemini Code Assist IDE extensionsがリクエストを処理しなくなると説明されています。
一方で、Gemini Code Assist Standard / Enterpriseなどの企業向けライセンスや、Gemini Enterprise Agent Platform APIキーを使う場合はアクセスが継続されるとされています。つまり、Gemini CLIのコードや概念が完全に消えるというより、個人が無料またはGoogle AIサブスクリプション経由で使っていた入口がAntigravity CLIへ移される、という理解が近そうです。
筆者の感覚としても、Antigravity IDEを使い始めるとGemini CLIを単体で起動する理由は薄くなっていました。そこへ公式の移行方針が出たので、今後はGemini CLIを前提に環境を組むより、Antigravity CLIやAntigravity IDEを見たほうが現実的です。
AIエージェントごとの癖
生成AIを使っていると、モデルやツールごとの癖はかなり違います。Codexはコードベースを読んで作業を進めるときの安定感があります。Claudeは文章や構造化された説明で頼りやすいです。Geminiは広い文脈を持たせたときに、全体を見渡して動くのが得意に感じます。
Antigravity IDEは、当然ながらGeminiの癖を強く持っています。つまり、Antigravityが別人格として振る舞うというより、GeminiをIDEの作業体験に寄せたものとして見ると分かりやすいです。
制限のかかり方で言うと、今のところ光速で制限に当たるのは間違いなくClaude Designです。これはもはや別種。
この癖は良い方向にも悪い方向にも出ます。大きく見てほしいときは便利です。一方で、細部を詰めるときには、こちらが明確に指示しないと少し広く解釈しすぎることがあります。このあたりは、CodexやClaude Codeと同じく、慣れでかなり変わります。
いまの結論
Antigravity IDEは、数日使った時点ではかなり好印象です。特に、Geminiを中心に開発作業を進めたい場合、CLIよりも自然にプロジェクトへ入り込めます。VS Codeから完全に離れるかはまだ分かりませんが、少なくとも「Geminiを開発に使う場所」としては、Antigravity IDEが第一候補になりつつあります。
ただし、利用制限は気になります。5時間ごとの更新という説明があっても、実際のクォータはプランや混雑状況に左右されます。ここを前提に重い作業を組むと、途中で止まる可能性があります。
しばらくは、Codex、Claude Code、Antigravity IDEを使い分ける形になりそうです。道具が増えすぎている気もしますが、開発環境を触っている時間は、なんだかんだで楽しいものです。